2009年8月11日火曜日

『審理』はだれのものか

最高裁判所が作成した裁判員制度PR映画『審理』の行方が気になる。
(覚醒剤取締法違反で逮捕された酒井法子が出演していることで一時的に話題になっている映画である。)
発行元である最高裁は貸出やネット配信を停止しているが、すでに配布した分はどうなるのか。
各地の裁判所に対しては、最高裁から公開停止の要請を受けているようだ。

その他、図書館や学校などに寄贈されたとされているが、気になるのはその資料の行方だ。
話題性が一時的に上がり、新たな入手が困難になったという点では、資料保護のためになんらかの盗難防止策がとられることは仕方がないだろう。
だからといって、完全に閲覧・観覧を停止・禁止することには反対したい。

類似事例として、日本図書館協会が2003年3月6日に国立国会図書館宛に出した要望を見つけた。
柳美里著「石に泳ぐ魚」(『新潮』1994年9月号所収)の利用禁止措置の見直しについて(要望) 2003年3月6日

国立国会図書館が当該図書を完全に閲覧禁止にしたことに対して、日本図書館協会は次のように抗議している。
閲覧禁止の理由として、貴館は最高裁判所判決がこの「石に泳ぐ魚」の頒布差し止めを命じたものとされておられますが、この判決は裁判の被告である著者と出 版者に出版等の公表を差し止めたもので、国民が当該作品を読むことを禁じたわけではありません。また原告も図書館に対して、閲覧禁止を求めたものでもありません。
判決による頒布差し止めもなく、発行元からの要請もない『審理』を各地の図書館がどのように扱うか、注目したい。

横道にそれるが、iTunes等の音楽配信サイトでは酒井法子の楽曲が配信停止となり、それに対して
  • 容疑者の資金源となる音楽配信は停止すべきだ
  • 楽曲はアーティストからすでに独立しているから配信停止すべきでない
などの意見があるようだ。

国立国会図書館に引っかけて締めくくろう。
『審理』を我らは自由にする
・・・ことができるだろうか。
国会図書館の元ネタはこちら

(文中敬称略)
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