der Zugzwang.
チェスの用語で、もっと不利になるような手を指さなければならない状況を指す。パス不可、強制ターン・・・あまりいい訳は思いつきませんが、状況によっては、苦し紛れ、窮余の一策、と訳すこともできるかもしれません。
GoogleでZugzwangを検索すると、
「強制被動」「手詰まり」といった訳を宛てているページが見つかりました(リンクは当該記事)。
Wikipedia日本語版にも記事があり、「動きの強制」「悪手しか打つ手がない状況」とあります。
der Zugは「列車」の意味で初学者にもおなじみですが、チェス用語では、「指し手」を意味します。
動詞ziehen「引く」の派生語なので、チェスのコマは引きずって移動するものなのでしょう。
将棋や碁のように、持ち上げたコマを「ピシッ」と決める・・・というわけには行かないようです。
一方、der Zwangは「強制」で、Zwangsarbeit「強制労働」といった複合語があります。
Zugzwangは全体では、「指し手の強制」で、プレイヤーが置かれた状況を指していて、「指し手の内容」を示しているわけではありません。
そういう意味では、「窮余の一策」という訳は、問題があります。
では、Zugzwang下で指す一手をどう表現すればいいか。
一つの方法として、複合語の中身を逆転させてみた。
Zwangszug.
手持ちの辞書ではヒットしないが、Google検索すると50件ほどヒットがあり、また、「追い詰められて打たざるを得ない一手」いう意味で使われるのが分かる。
in Zugzwang geraten「追い込まれる」
jemanden in Zugzwang bringen「~を追い込む」
と熟語で使うようです。
(小学館 独和大辞典電子版参照)
CASIO Ex-word (エクスワード) 電子辞書 XD-GW7150 日中韓対応手書きパネル搭載 音声対応 26コンテンツ収録 5.5型高精細液晶 ドイツ語上位モデル
この言葉を知ったのは、マイクロソフトの米ヤフー!買収交渉に関する記事(原文は英語・・・広告が多いな・・・)でした。
Yahoo!に買収する価値はあるのか? - ITmedia News
この評論の最後にzugzwangが使われています。
この語は英語として英和辞典にも載っていますが、評論本文でも解説付きで使われているので、英語としてはそれほど広範に使われることはないのかもしれません。
発音は英語式・ドイツ語式の両方があるようです。
"sie in zugzwang"で検索すると、チェスとは無関係のページが多数ヒットします(sieとSieの区別なし)。
ドイツ語ではそれなりに使われているのかもしれません。
WikipediaDEの、「第二次世界大戦への米国の参戦(保護記事)」の項目の日本に関する記述に使われていました。
給油を絶たれた日本は窮地に陥ったとか。
争いの 火に注がれる 油かな
今もかわらずですね。
ブログランキング用投票ボタンです。
0 件のコメント:
コメントを投稿